ジャパンタクシーが車椅子を乗車拒否する理由

トヨタ自動車がクラウン・コンフォート系の後継車として2017年より販売しています「JPN TAXI 」、都内では両サイドのドア部分に東京2020オリンピック・パラリンピックのロゴマークを貼って走っているのでよく目立っています。

このジャパンタクシー、トヨタ車では初めて「ユニバーサルデザインタクシー」の設定条件を満たした車種として国土交通省から認定を受けています。

2020パラリンピックでは、世界各国から多くの障害者の方が来日されることから活躍が大いに期待されていましたが、いざ稼働してみると思わぬ問題が浮上してきました。

それは車椅子を使用している方が、ジャパンタクシーを利用しようとした際に準備に時間がかかりすぎるため従来通り車椅子を折りたたんでトランクに入れ本人は不自由な身体で無理をして座席に座るというUDカーの役目を果たせていないことです。

挙げ句の果ては、運転手が車椅子仕様への準備手順を勉強不足のため車椅子ごとの乗車は出来ないと、乗車拒否が相次ぐという問題が発生してしまったのです。

車椅子利用に時間がかかりすぎるのは何故

ジャパンタクシーの最大の欠点は車椅子乗降用のスロープをサイドドアから出したということです、このため車椅子を乗せるまでの時間がかなりかかるという自体になってしまいました。

トヨタが制作したジャパンタクシーの簡単スロープ設置方法がYouTubeにアップされていて5分で乗車出発できることになっています。

これは何回も実践講習を受けてかなりなれた運転手でないと無理な話で、現実は一度か二度の講習で全く頭に入って ない運転手がほとんどであり乗車まで15分から20分かかるといわれています。

タクシードライバーの給料は完全歩合ですので、乗降に時間がかかると売り上げに響いてきます。

このため車椅子利用の方への時間がかかることを理由に乗車拒否をする運転手が多くなったのだと思われます。

私もジャパンタクシーに乗務して5カ月間になりますが、数回車椅子の方に遭遇していますが幸い自力で立てる方ばかりでしたので車椅子から降りて乗車していただきました。

車椅子利用者を無視したタクシー協会とLPガス業者のしがらみ

ジャパンタクシーのベースであるシエンタには福祉車両タイプがあり車椅子を後方から乗せる仕様になっています、当然ジャパンタクシーもこの仕様にすれば問題なかったのです。

聞いた話では当初トヨタはジャパンタクシーもシエンタと同じ後方から車椅子を乗せる仕様にするつもりだったとか、そのためガソリンとのハイブリッド車になる予定だった用です。

ところがタクシー協会から従来のタクシーと同じLPガスとのハイブリッドにしてくれとの要望があったそうです、そのため車体後部にLPガスのタンクを設置したため車椅子を後方から乗せることが出来なくなったとのことでした。

タクシー協会は車椅子利用者とタクシー乗務員の利便性よりLPガス業者との繋がりを優先したということになります、トヨタ自動車もタクシー協会からの要望は聞かざるを得なかったようです。

車椅子利用者からトヨタ自動車へ改善要求の署名

車椅子利用者やタクシードライバーからも不満に感じていた人が多数いたようで、あるサイトで改善要求の署名を集めたところ12,000人もの署名が集まりトヨタ自動車に提出したそうです。

さすが世界のトヨタです、すぐさま不評への対応をしジャパンタクシーのリニューアルされた車両を3月から販売いたしました、マサトが乗るJPNも4月納入なのでニュータイプです。


(マサトが乗っているジャパンタクシー)

リニューアルジャパンタクシーの大きな改善点

1.スロープ1を3枚折りから2枚折りに変更し、収納袋を廃し

2.スロープ2を折りたたみ構造からプラスチックの一体型に変更

3.個別に収納袋に入っていた車椅子固定用ベルトをフロアに常設

4.作業手順をラベルにして目立つ場所に貼り付け

この改良によって従来型より作業効率がよくなりました、トヨタのデモ動画では3分ほどで設置完了!

これだと2~3回練習すれば5分ちょっとで設置できるのではないでしょうか、これくらいの時間ならお客様にも納得していただけて十分実用化できるのではないでしょうか。

ただ簡単になったとはいえ全く練習もしないで実践はできません、各タクシー会社は実技講習を行い乗務員全員が一定のレベルに達するよう指導していくことが大切です。

2020オリンピック・パラリンピックでは世界各国からのお客様に満足して頂けるようタクシー業界が一丸となって改善に取り込むことが必要です。

ジャパンタクシー車椅子のことを除けばとても評判のよい車です、個人的には運転しやすいしエアコンの性能がよいのがありがたいですね。

ジャパンタクシー指名の予約も増えてますよ。

1 Comment

仁科 奈津子

「車いす乗車を考える会」と申します。

JPN TAXI 乗車拒否の原因は、どこにあるのか誰も知らないままドライバーだけが悪い事になっています。
UDタクシー制度の問題点がどこにあるのかまとめてみました。 ご閲覧頂ければ幸いです。

私達の目的は、誰もが安心して乗れる「真のユニバーサルデザインタクシー」を実現する事です。
URL: https://ud-taxi.site/

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